2008年7月13日日曜日

「猫が鳴くから」

「猫が鳴くから」

太郎
ちえ
太郎の後輩
課長





二人は同じベッドで寝ている。

ちえ 「ねぇ、あなた昨日ね、私ホームレスにお金せびられちゃった」
太郎 「で、どうしたの」
ちえ 「あげたよ、200円」
太郎 「げー、偽善者だ、ちえがそんなことしても根本の解決にはならないよ」

太郎は軽く笑いながら言う

ちえ 「あら、私は困っていたからあげただけよ。幸い私は200円くらいのお金は出せる経済状況だし」

ちえは少し口調を強めて言う。

太郎 「その論法で行くと、困っていて、君を頼りにする人全員になんらかの施しをしなくちゃいけなくなるよ。それは出来ないだろ」
ちえ 「出来ることは出来るし、出来ないことは出来ない、それじゃ駄目?」
太郎 「そういう感覚的な判断をその都度行うのは大変だよ。誰でも出来ることじゃな い。だから自分の中のルールを決めるんだ。僕はそういうことが起こってもお金をあげない。これだけ世界でたくさんの問題が起こっているんだ。全部に関心を持って、全部になんらかの行動をすれば、経済的にも、精神的にも破綻しちゃうよ」

太郎はちえとは反対のほうに寝返りをうつ。

太郎 「僕って冷たい人かな」
ちえ 「そうじゃないってことは私がよく知ってる。もう寝ましょ。おやすみ」

ちえは電灯をけし、部屋は真っ暗になる。

シーン2

会社で、上司にくどくど起こられる太郎。

シーン3

太郎の後輩 「すいません、あれ、俺のミスなのに。先輩困らせちゃって」
太郎 「しょうがない」

太郎は後輩にコーヒーを買ってあげる。

太郎 「こんなことで会社辞めんなよ。他行っても大変なだけだから」
太郎の後輩 「あのー、昨日、母が熱出して倒れちゃって、母子家庭だから、母の面倒は僕が見なくちゃいけなくて、それで・・・言いにくいんですけど、代わりに報告書やってもらっていいですか・・・」

太郎は怖い目で後輩をにらむ。

太郎 「おいおい、ふざけるな!」

太郎の後輩 「お願いします」

ふかぶかと頭を下げる後輩

太郎 「冷静に言おうか。俺は俺の責任を超えて、お前をかばった。それは俺のお前に対するやさしさだ。お前はそのやさしさにどこまでもつけこもうとしているんだ。間違ったことを言ってるか?」

それでもふかぶかと頭を下げる後輩
少し考え込むが、後輩を無視して去ってしまう太郎。

続く・・・

ニッキ

家でしなくちゃいけん雑務をこなし、シナリオかき、土日が消える。

クーラーをよく使う。軽く風邪をひく。

引きこもる感じが嫌で一人市民プールに行き500円で300メートルきっちり泳ぐ。クロール、背泳、平泳ぎを試す。平泳ぎが好き。プールから出て水をがぶ飲み。う、うまい。

帰り、空が綺麗で綺麗で、これはライジングサンの空じゃねぇか!!と思う。行けない今年の予定を返上しようかと本気で考える。なんいせよ疲れアンドようわからん充実感で満たされる。いいことだ。

犬の足の調子が少しおかしいと妹に言われ、今朝散歩に行ったときを思い返す。思い当たる節あり。歩けるのは歩けるけど。明日妹が病院に連れて行くとのこと。ねんざくらいだったらいいな。

なんてことない日々、だ。そういえばこんな感覚8歳ぐらいの時から知ってる。

2008年5月20日火曜日

良くある話

良くある話


登場人物

ノリオ デモ隊のリーダー
ナタリー 異国の娼婦 年齢不詳
シノブ ノリオのことを想う女

男1 デモ隊の部下
少年 デモ隊に参加している10代の労働者


遠い未来のとある国の出来事

シーン1

雑居ビルの一室がノリオの部屋、コンクリートがむき出しの壁には卑猥なポスター等が貼ってある。

小汚いパイプベッドでノリオは寝ている、隣には娼婦のナタリー。
ナタリーはまだあどけなさの残る雰囲気。

雑居ビルに面した大通りではもの凄い喧噪。
大勢の最下層の労働者達がデモを起こし、警官隊と衝突している。
労働者達が持っているプラカードには、「移民の受け入れ反対、自国の労働者に仕事を!異国の奴らは出て行け!」などと派手に書かれてある。
労働者達は火炎瓶を投げつけたりし、警官隊はそれに応じて、発砲などもしている。

ドンドン、玄関のドアを叩く音、ノリオはそれに気づいて起きる。
そして急いでナタリーを起こす。
起こされたナタリーは事態を察し、下着姿のままクローゼットの中に隠れる。

男1 「は、始まりました」

男1は興奮してノリオに言う。
ノリオはその一言を聞きすぐに服を着替え、その男と一緒に部屋を出る。
しばらくしてナタリーはクローゼットの中から出てくる。
少し冷えたのか何回もクシャミをする。
ナタリーは昨夜の素晴らしい夜のことを思い出し、一人ベッドの上でタオルケットのような薄地の布だけかぶりニヤニヤしている。

回想始まり

ノリオはセックスが終わった後も、目を見つめ、やさしくナンシーの頭を何どもなでてあげる。子犬のようにノリオに甘えるナタリー。

回想終わり

ナタリーはベッドから降り、冷蔵庫の中から水をとりだし美味しそうに飲む。ほっとしたのか少しぼーっとした顔になる。
するとまたドンドンと音がして、ナタリーは急いでクローゼットの中に入る。

シノブ 「ちょっとーいないの!私もデモに参加するわ、あなたのためになり
 たいの、命を捨てる覚悟も出来てるわ!」

ナタリーはクローゼットの中で鍵を閉め忘れたことに気づく。
シノブは部屋に上がり込み、ベッドの上に座り込む。

シノブ 「私を置いてかないで・・・」

そしてしばらくすると泣き出す。
それを見てナタリーはクローゼットの中から思わず出てきてしまう。
ナタリーは何か言いたいが言葉がわからない。
驚くシノブ、しかしすぐにコトを飲み込む。

シノブ 「まさか異国の女とはね・・・」

しばらく戸惑った後、ナタリーはっと気づきハンカチを差し出してシノブに近づく。

シノブ 「近寄るな、汚らわしい!」

シノブは泣き叫ぶ。
シノブは何故泣いているのかわからず戸惑うナンシー。
ナタリーは変な顔を作り、なんとか女を泣きやまそうとする。
するとシノブは急に泣き止み、携帯電話をとりだし、どこかに電話をする。
シノブが泣きやみ一人喜び、満面の笑みを浮かべるナタリー。

シーン2

雑居ビルに面した大通り

警官隊と激しい衝突を繰り返す労働者達。
最前線で戦うノリオ。
横目で労働者のとある一団が雑居ビルに入っていくのが見える。
気にはなったが、警官隊と取っ組み合いをしているのでそれどころではない。

〜時間経過〜

シーン3

雑居ビルの影になっている場所。

夕方に騒動は収集した。
警官隊、デモ隊双方に多数の死者を出し、周辺には死体が転がっている。
政府の命により黙々とその死体を拾集する異国の下層労働者達。
その様子をビルの影からタバコを吸いながら見ているノリオ、怪我こそ多少しているものの命には別状はない。
ノリオの隣でまだ十代と思しき少年も同じ光景をみている。

少年 「こんな世界間違ってる」

しばらくその光景を見続けたあと、ノリオは笑いながらその少年にタバコをくわえさせる。むせる少年。

少年 「ごほっ、ごほっ。あのー・・・」

何も答えずノリオは雑居ビルへと戻っていく。

シーン4

雑居ビルの自分の部屋

自分の部屋に戻ったノリオは明かりをつけ、ベッドに横たわるナタリーの死体を発見する、死体は心臓をピストルで射貫かれていて、強姦されたような形跡もある。
しかしどういうわけかナタリーの死に顔は笑顔だった。
ノリオは目をつぶらせてから、隣に横たわりただ手を握り、頭をなでてあげる。
ノリオの表情からはなにも読み取ることができない。
そこにシノブと労働者達が入ってくる。

シノブ 「あら、一緒に寝て仲良しだこと」

ピストルをノリオに向けるシノブ、目からは涙がこぼれている。
労働者たちはただうつむくばかり。
そんな状況に何も反応しないノリオ。

シノブ 「あなたが悪いのよ、わかるでしょ。言いたいことはある?」

ノリオは何も言わない、ゆっくり上半身を起こし女に穏やかな笑顔を向ける。
その瞬間ピストルをノリオに打ち込むシノブ、ノリオもまた笑顔の死に顔。
二つの奇妙な死体の顔を見つめるシノブ。
シノブの目から涙はとまり、怖いほど冷静な表情になる。

シノブ 「・・・こんな時代には良くあるお話ね」

シノブは窓から外の景色を見る。

窓の外には満月。
大通りではその月明かりを頼りに異国の下層労働者達がまだ死体を片付けている

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