「猫が鳴くから」
太郎
ちえ
太郎の後輩
課長
猫
二人は同じベッドで寝ている。
ちえ 「ねぇ、あなた昨日ね、私ホームレスにお金せびられちゃった」
太郎 「で、どうしたの」
ちえ 「あげたよ、200円」
太郎 「げー、偽善者だ、ちえがそんなことしても根本の解決にはならないよ」
太郎は軽く笑いながら言う
ちえ 「あら、私は困っていたからあげただけよ。幸い私は200円くらいのお金は出せる経済状況だし」
ちえは少し口調を強めて言う。
太郎 「その論法で行くと、困っていて、君を頼りにする人全員になんらかの施しをしなくちゃいけなくなるよ。それは出来ないだろ」
ちえ 「出来ることは出来るし、出来ないことは出来ない、それじゃ駄目?」
太郎 「そういう感覚的な判断をその都度行うのは大変だよ。誰でも出来ることじゃな い。だから自分の中のルールを決めるんだ。僕はそういうことが起こってもお金をあげない。これだけ世界でたくさんの問題が起こっているんだ。全部に関心を持って、全部になんらかの行動をすれば、経済的にも、精神的にも破綻しちゃうよ」
太郎はちえとは反対のほうに寝返りをうつ。
太郎 「僕って冷たい人かな」
ちえ 「そうじゃないってことは私がよく知ってる。もう寝ましょ。おやすみ」
ちえは電灯をけし、部屋は真っ暗になる。
シーン2
会社で、上司にくどくど起こられる太郎。
シーン3
太郎の後輩 「すいません、あれ、俺のミスなのに。先輩困らせちゃって」
太郎 「しょうがない」
太郎は後輩にコーヒーを買ってあげる。
太郎 「こんなことで会社辞めんなよ。他行っても大変なだけだから」
太郎の後輩 「あのー、昨日、母が熱出して倒れちゃって、母子家庭だから、母の面倒は僕が見なくちゃいけなくて、それで・・・言いにくいんですけど、代わりに報告書やってもらっていいですか・・・」
太郎は怖い目で後輩をにらむ。
太郎 「おいおい、ふざけるな!」
太郎の後輩 「お願いします」
ふかぶかと頭を下げる後輩
太郎 「冷静に言おうか。俺は俺の責任を超えて、お前をかばった。それは俺のお前に対するやさしさだ。お前はそのやさしさにどこまでもつけこもうとしているんだ。間違ったことを言ってるか?」
それでもふかぶかと頭を下げる後輩
少し考え込むが、後輩を無視して去ってしまう太郎。
続く・・・
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