2008年11月1日土曜日

tv

 2008年度の27時間TVについて。
 自分ながいことのこの番組について褒めてる言説を待ってたんすけど(ブログなどにはたくさんあった)、ついにスプラッシュという雑誌で特集されていました。
「00年代、バラエティーの頂点」
 そうです。言い切ってもいいくらいすごかったです。熱心なテレビウォッチャーなら誰でも、テレビで奇跡を見たいものです。自分もその一人。この27時間TVはさんまさんを媒体に、破壊と再生を繰り返しながら、もんすごいカタルシスに向かって突っ走っていました。見ててたまらんかったです。TVはおもんないとシニカルに構える世代に、80年代にTVの黄金期を支えた人達がからものすごい説教を受けたみたいな感じ。テレビはこんなにもおもしろいと。
 今TVのバラエティーは企画ものから、お笑い番組、クイズと充実した環境にあります。最近はドラマや野球も自分はすごいと思います(四つの嘘やクライマックスシリーズ最高でした)。映画、海外のドラマや、インターネットという外圧が、プロのテレビマンを本気にさせたのです。これからおもしろくなるのはたぶんテレビです。
 コンテンツ産業はテレビがトップを突っ走り、その他がそれを追いかけるという構図でいいと思う。
 うーん、なんでこんな熱くなってんだ。テレビ好きなんです。

2008年10月30日木曜日

みやさん

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラツテイル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキ小屋ニイテ
東ニ病気ノ子供アレバ
行ツテ看病シテヤリ
西ニ疲レタ母アレバ
行ツテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニソウナ人アレバ
行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクワヤソシヨウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイウモノニ
ワタシハナリタイ

前回の内容とも少し関連させて、まじめに損得の話。

 宮沢賢治の詩のような人は「損」だという、なんとなーくの共通認識はおかしいです。こういう人は「得」です。

 いま、「損」っていう共通認識って書いたけど、実は立派な生活者はこの「得」について十分な智賢をもっていると自分はなんとなく思います。妹は仕事のエステでまつげのエクステ部門において店1番の成績らしいです。妹はまだ入って2年目。一体どんな秘密があるんだと自分が聞くと(自分は妹に限らず人のこだわりを聞いたり気づいたりするのが好き)、妹は「秘密というより、仕事をマニュアル化せずにお客さんのやってほしいようにやってあげる、つまり一番やって欲しいことに気づいてあげる」だそうです。なるほど、妹は自分の「得」についてよく考えてるなーと思いましたわ。これ、おんなじことを学生時代のすごくよく出来たバイト先の店長にも感じたました。

 宮沢賢治の詩では自分を殺して他人に尽くすさまが刻々と書かれてるけど、結局これって全部自分のためなんすよね。作家の保坂和志はミヤケンのことを21世紀の詩人と称してますね。ほんとそうだと

2008年10月24日金曜日

風邪について

久々

また風邪。昨日は鼻かみすぎて、久々に鼻血が出る。しかし大人なので、大丈夫っすよーと言い仕事。薬という薬を体にぶち込み午後8時に寝る。今日は風邪であったま痛くて、仕事帰りの電車で泣いたろうと思ったけど大人なので我慢する。家に帰り、頭痛薬を飲む。すごい効き目。それはそれで心配になる。風邪で自律神経がゆるくなり、精神が堕落。世の中のやつ全員嫌い的な雰囲気になる。そして家族に嫌なことを言ったりする。思春期か、俺。もう風邪ほんと嫌だ。

 最近MDで昔でたストーンズのベスト聞いてた。今になってようやく良さがわかった。

 ストーンズってほんまにかっこいい。キースのギターのリズムのもちゃっとした感じがいい。それが貫かれているので、ディスコでも、ファンクでも、バラードでもストーンズグルーブ。メトロノームではまねできない。
 クラプトンに代表されるホワイトカラーブルースではなく、ストーンズには黒さがある。

 木曜洋画劇場で「ドーンオブザリヴィングデッド」見る。おもしろかった。声がでる。ゾンビ映画を見ると「何でお前そんなことすんねん、みんなのことを考えろや」ってよく言ってしまう。今回も思わず一人で言う。シューティングゲーム的シナリオなんやけど、演出でちゃんとゾンビ映画になってた。カメラ位置も「お決まり」と「なんじゃそれ」がいい具合に配置されていた気がする。興奮した。やっぱり画面の片隅で何かが起こる映画はとんでもない映画だ。くさくさした気分が共有されてる気がしていい。

 政府は介護にお金かけるみたいっすね。遅えよ!キーチVS1巻の冒頭読めよ!って思うが、ちゃんと末端が楽になるようにお金が回ればいい。貧乏人の介護ってほんと人殺すから。

 当事者にしかわからん苦しい感覚の、当事者による強要はいらん。ようは当事者じゃない側の想像力。徹頭徹尾それにつきる。マイナスを背負うなけなしの男気だけが「やさしさ」と呼べるんではないか。

 あ、そうだ吹石一恵はすいぶんいい。

 寝ます。

2008年8月16日土曜日

動画アップ



くどいけど、さわやか。

つまり漫画、アフロ田中を目指しました。



 

2008年7月24日木曜日

虫さされ

 足首ばかりが虫に食われる。

 アホ足首。アホクビ。

 もうね、虫よ、体でかいんやからもっとちらして血をすったりしろ。なんで足首集中やねん。

 

2008年7月21日月曜日

ニッキ

 今日は電車で金髪の30代くらいの男性が、「殺人事件がわかる本」というコンビニなどで500円で売っている極悪な本を読んでいました。

 極悪や!と思い車両を離れました。

 でも、まぁ極悪な本読んでるやつがほんまに極悪なら、探偵推理小説なんて生まれないわけです。だから僕のその行動は単なる杞憂です。極悪っぽい雰囲気をかもし出すやつよりさらっとしたやつがアブナイ。しかしながら、極悪な本読んでるやつがほんまは極悪じゃなくて、すましているイケメンが実は犯人ってのも、なんか出来の悪い推理小説って感じもします。
 ヤンキーが俺小説読んでんっていうから、ほうと思い読んでみたら、こんなん小4で読んだわって思わず言っちゃいそうなミステリー小説。そういう犯人像が「すましているイケメン」です(ああなんやコナンやん)

 世の中ってのは複雑です。コナンのようには問屋は卸しません。裏の裏をかいてくる。つまり極悪っぽいひとはやはり極悪。だから僕が車両を離れるのはやっぱお大正解なんです!(ちなみに裏の裏は金田一少年の事件簿でよく使う手です)

 ていうかお前はよく見た目で判断するなっていってるじゃないか!と怒られそうです。誰に。なーんとなく存在しがちなもう一人の自分に。まぁでもぼかぁやさしいから、その人はただの見た目怖い人であればいいなぁとも同時に思いました。

 明日早いのに、何を書いてるんだ。5時半起きだろ。起きているにしてもこんなことを書くのは150番目くらいでいいはずなのに、3番目くらいにしてる。

 人生だから、ままならない。

おやすみなさい。

2008年7月16日水曜日

「猫が鳴くから」続き

シーン4

寝室で寝ているちえと太郎

太郎 「ねぇちえ、俺って冷たい人間だと思う?」
ちえ 「思わないわよ、ただ少しややこしいかもね」
太郎 「そんなことないと思うけど」

シーン5

深夜、残業をしている太郎のもとに後輩が来る。会社には太郎一人。

太郎の後輩 「母が亡くなりました。報告書を作成していたので死に目にあえませんでした」
太郎 「仕事以外の話はやめてくれ。この書類の作成期限はあと1時間後なんだ」
太郎の後輩 「会社を辞めます」
太郎 「そうか、課長には言ったのか」
太郎の後輩 「はい」

太郎はその間もずっとパソコンを見て、手を動かしてる。

太郎の後輩 「(小声で)あなたのせいだ」
太郎 「ん、なんて?」

太郎の後輩は太郎を殴り、去る。
殴られながら後輩の去る姿をボーゼンと眺める。殴られて手をついたのが太郎が使用していたPCの上。衝撃で今まで作成したデータが消えていた。苛立ち、後輩を追いかける。

太郎 「な、なんで俺が殴られなきゃいけねーんだよ!」

廊下を歩く後輩に向かって、飛び蹴りをかます。派手に吹っ飛ぶ後輩。怒って殴り掛かってくるが、足払いで逆に転す。

太郎 「お前が悪いんじゃねぇか、馬鹿やろう!」

後輩はしくしく泣いている。

後輩 「あんたさえ居なけりゃ、母のそばにいれたんだ、たかが仕事で、俺は、俺は・・・」
太郎 「お前一生仕事すんな。そのたかがが出来ないからそうなったんじゃねぇか」
後輩 「うるさい!正論なんて聞きたくないんだ!母の死に目に合えなかった事実は何もかわらないじゃないか!」
太郎 「滅茶苦茶だって」
後輩 「滅茶苦茶でも、なんでも母のそばに居たかった、居たかった」
太郎 「・・・」

シーン6

帰り道。
公園で一人酒を飲む、肴はちくわ


猫 「にゃー(ちくわちょうだい)」
太郎 「なんだよ、俺が間違ってるってのか(勘違い)」

そこにホームレスが来る。

ホームレス 「200円くれないか」
太郎 「・・・」

ホームレスは太郎の周りをうろうろする。

太郎 「俺さ、大変なんだよ、いろいろと。お前に構っている暇ないんだ」
ホームレス 「俺も大変だよ」
太郎 「ふざけんじゃねえ」
ホームレス 「俺の方が大変だ!」
太郎 「俺だ!」
ホームレス 「俺!」

猫は自分を指して(俺の方が大変だ、えさ探すのどれだけしんどいか)

太郎 「はぁ、もういいや。俺は徹底的に情けをかけないことに決めた。消えてくれないか」
ホームレス 「社会も、お前も、俺を見捨てるのか」
太郎 「どいつもこいつも、自己責任だろ!」

後輩に殴られた傷がうずく。

ホームレス 「ちぇっ、その言葉にゃかなわねぇよ」

ホームレスは去ろうとする。
太郎は後ろ姿を眺める、そこに猫がすり寄る。

太郎 「なんだよ、猫」
猫 「ニャー(ちくわくれ)」
太郎 「だからなんだよ」
猫 「(さっきより大きな声で)ニャー(ちくわくれ!)」

太郎は猫の目を見て、すぐにホームレスを追いかける。

太郎 「・・・おい」
ホームレス 「なんだ」
太郎 「あげるよ、200円くらい」
ホームレス 「・・・ありがとう、でもなんで・・・」
太郎 「しらねぇよ、猫がなんかそうしろって言ってる気がしたから(実際はちくわくれ!と言っている)、それだけだよ」

ホームレスはぼーっと太郎を見る。

太郎 「何してんだ、早く帰れよ」

ホームレスは帰ろうとするが、振りかえって。

ホームレス 「お前、ややこしいな、でもややこしいやつは嫌いじゃないよ」
太郎 「ふざけんな、お前なんかに好かれたくない、もっとちゃんとしやがれ、しっし!」
ホームレス 「ほんとにありがとな」

ホームレスは一礼して去る。

太郎 「ていうか猫お前こっち見すぎだよ」
猫 「にゃー(何回も言わせるな、ちくわくれ!)」
太郎 「まだなんかあんのかよ」
猫 「にゃー(いや、ちくわ、ちくわだって)」

太郎は猫の目を見て、携帯電話を取り出す。
すこしだけ、躊躇して電話をする

太郎 「・・・もしもし、い、今大丈夫か?」
後輩 「はい、何か」
太郎 「あ、あのさ、実はさっき一言だけ言い忘れたんだ」
後輩 「なんですか」
太郎 「は、母親の死に目に合えないのは残念だったなって、いや、俺も母親のこと大事に思ってるから、死に目に合えないってのはつらいだろうなって、その気持ちはわかるからさ」
後輩 「・・・わかりませんよ、先輩には」
太郎 「わかるって」
後輩 「そのことで先輩と分かり合う気は僕にはありませんから・・・(くすっと笑う)」
太郎 「何笑ってんだよ」
後輩 「いや、実は電話びっくりしたんです。まさかかかってくるとは思わなかったから、なんかあまりにあり得ないタイミングで面白くて、自分でも笑うなんて変ですけど」
太郎 「ふざけんてんのか」
後輩 「いや、違うんです。本当に・・・、すいません、うまく言えそうにありません」
太郎 「電話したのは、猫がなくから、それだけだよ、もう切るわ、これ以上しゃべると余計なことは言っちゃいそうだ」

太郎はそそくさと電話を切り、深呼吸。
猫は太郎のほうをまだ見ている。

太郎 「おいおい、もうおわりだろ?」
猫 「にゃ、にゃにゃ!!!!(ちくわよこせー、こっちは何ひとつ終わってねーよ!)」

猫は飛びかかりちくわを奪う。
太郎はびっくりしてベンチから転げ落ちる。
猫は「してやったり顔」でちくわを食べる。

太郎 「なんだよ、ちくわか、さっきからそれがほしかっただけか。ははは」

太郎は笑い転げる。

猫 「にゃあ?(この人間はえさとられてんのになんで笑ってんだ?)」

数日後

シーン7

ソファで猫をなでているちえ。
猫はちくわを食べている。

猫 「にゃーん」(女はすぐちくわをくれるから好きだ)

猫はちえに甘える。

猫 「にゃーん、にゃーん」(好き、好き)
太郎 「ただいま」
ちえ 「このこ本当にいい猫ね、愛嬌があるわ、鳴き声もかわいいし。」
太郎 「俺は嫌い、こいつは裏があるんだ」
ちえ 「ははは、何いってるの、あなたが拾ってきたんじゃない、やっぱりややこしい人ね」
                                             
エンド

2008年7月13日日曜日

「猫が鳴くから」

「猫が鳴くから」

太郎
ちえ
太郎の後輩
課長





二人は同じベッドで寝ている。

ちえ 「ねぇ、あなた昨日ね、私ホームレスにお金せびられちゃった」
太郎 「で、どうしたの」
ちえ 「あげたよ、200円」
太郎 「げー、偽善者だ、ちえがそんなことしても根本の解決にはならないよ」

太郎は軽く笑いながら言う

ちえ 「あら、私は困っていたからあげただけよ。幸い私は200円くらいのお金は出せる経済状況だし」

ちえは少し口調を強めて言う。

太郎 「その論法で行くと、困っていて、君を頼りにする人全員になんらかの施しをしなくちゃいけなくなるよ。それは出来ないだろ」
ちえ 「出来ることは出来るし、出来ないことは出来ない、それじゃ駄目?」
太郎 「そういう感覚的な判断をその都度行うのは大変だよ。誰でも出来ることじゃな い。だから自分の中のルールを決めるんだ。僕はそういうことが起こってもお金をあげない。これだけ世界でたくさんの問題が起こっているんだ。全部に関心を持って、全部になんらかの行動をすれば、経済的にも、精神的にも破綻しちゃうよ」

太郎はちえとは反対のほうに寝返りをうつ。

太郎 「僕って冷たい人かな」
ちえ 「そうじゃないってことは私がよく知ってる。もう寝ましょ。おやすみ」

ちえは電灯をけし、部屋は真っ暗になる。

シーン2

会社で、上司にくどくど起こられる太郎。

シーン3

太郎の後輩 「すいません、あれ、俺のミスなのに。先輩困らせちゃって」
太郎 「しょうがない」

太郎は後輩にコーヒーを買ってあげる。

太郎 「こんなことで会社辞めんなよ。他行っても大変なだけだから」
太郎の後輩 「あのー、昨日、母が熱出して倒れちゃって、母子家庭だから、母の面倒は僕が見なくちゃいけなくて、それで・・・言いにくいんですけど、代わりに報告書やってもらっていいですか・・・」

太郎は怖い目で後輩をにらむ。

太郎 「おいおい、ふざけるな!」

太郎の後輩 「お願いします」

ふかぶかと頭を下げる後輩

太郎 「冷静に言おうか。俺は俺の責任を超えて、お前をかばった。それは俺のお前に対するやさしさだ。お前はそのやさしさにどこまでもつけこもうとしているんだ。間違ったことを言ってるか?」

それでもふかぶかと頭を下げる後輩
少し考え込むが、後輩を無視して去ってしまう太郎。

続く・・・

ニッキ

家でしなくちゃいけん雑務をこなし、シナリオかき、土日が消える。

クーラーをよく使う。軽く風邪をひく。

引きこもる感じが嫌で一人市民プールに行き500円で300メートルきっちり泳ぐ。クロール、背泳、平泳ぎを試す。平泳ぎが好き。プールから出て水をがぶ飲み。う、うまい。

帰り、空が綺麗で綺麗で、これはライジングサンの空じゃねぇか!!と思う。行けない今年の予定を返上しようかと本気で考える。なんいせよ疲れアンドようわからん充実感で満たされる。いいことだ。

犬の足の調子が少しおかしいと妹に言われ、今朝散歩に行ったときを思い返す。思い当たる節あり。歩けるのは歩けるけど。明日妹が病院に連れて行くとのこと。ねんざくらいだったらいいな。

なんてことない日々、だ。そういえばこんな感覚8歳ぐらいの時から知ってる。

2008年5月20日火曜日

良くある話

良くある話


登場人物

ノリオ デモ隊のリーダー
ナタリー 異国の娼婦 年齢不詳
シノブ ノリオのことを想う女

男1 デモ隊の部下
少年 デモ隊に参加している10代の労働者


遠い未来のとある国の出来事

シーン1

雑居ビルの一室がノリオの部屋、コンクリートがむき出しの壁には卑猥なポスター等が貼ってある。

小汚いパイプベッドでノリオは寝ている、隣には娼婦のナタリー。
ナタリーはまだあどけなさの残る雰囲気。

雑居ビルに面した大通りではもの凄い喧噪。
大勢の最下層の労働者達がデモを起こし、警官隊と衝突している。
労働者達が持っているプラカードには、「移民の受け入れ反対、自国の労働者に仕事を!異国の奴らは出て行け!」などと派手に書かれてある。
労働者達は火炎瓶を投げつけたりし、警官隊はそれに応じて、発砲などもしている。

ドンドン、玄関のドアを叩く音、ノリオはそれに気づいて起きる。
そして急いでナタリーを起こす。
起こされたナタリーは事態を察し、下着姿のままクローゼットの中に隠れる。

男1 「は、始まりました」

男1は興奮してノリオに言う。
ノリオはその一言を聞きすぐに服を着替え、その男と一緒に部屋を出る。
しばらくしてナタリーはクローゼットの中から出てくる。
少し冷えたのか何回もクシャミをする。
ナタリーは昨夜の素晴らしい夜のことを思い出し、一人ベッドの上でタオルケットのような薄地の布だけかぶりニヤニヤしている。

回想始まり

ノリオはセックスが終わった後も、目を見つめ、やさしくナンシーの頭を何どもなでてあげる。子犬のようにノリオに甘えるナタリー。

回想終わり

ナタリーはベッドから降り、冷蔵庫の中から水をとりだし美味しそうに飲む。ほっとしたのか少しぼーっとした顔になる。
するとまたドンドンと音がして、ナタリーは急いでクローゼットの中に入る。

シノブ 「ちょっとーいないの!私もデモに参加するわ、あなたのためになり
 たいの、命を捨てる覚悟も出来てるわ!」

ナタリーはクローゼットの中で鍵を閉め忘れたことに気づく。
シノブは部屋に上がり込み、ベッドの上に座り込む。

シノブ 「私を置いてかないで・・・」

そしてしばらくすると泣き出す。
それを見てナタリーはクローゼットの中から思わず出てきてしまう。
ナタリーは何か言いたいが言葉がわからない。
驚くシノブ、しかしすぐにコトを飲み込む。

シノブ 「まさか異国の女とはね・・・」

しばらく戸惑った後、ナタリーはっと気づきハンカチを差し出してシノブに近づく。

シノブ 「近寄るな、汚らわしい!」

シノブは泣き叫ぶ。
シノブは何故泣いているのかわからず戸惑うナンシー。
ナタリーは変な顔を作り、なんとか女を泣きやまそうとする。
するとシノブは急に泣き止み、携帯電話をとりだし、どこかに電話をする。
シノブが泣きやみ一人喜び、満面の笑みを浮かべるナタリー。

シーン2

雑居ビルに面した大通り

警官隊と激しい衝突を繰り返す労働者達。
最前線で戦うノリオ。
横目で労働者のとある一団が雑居ビルに入っていくのが見える。
気にはなったが、警官隊と取っ組み合いをしているのでそれどころではない。

〜時間経過〜

シーン3

雑居ビルの影になっている場所。

夕方に騒動は収集した。
警官隊、デモ隊双方に多数の死者を出し、周辺には死体が転がっている。
政府の命により黙々とその死体を拾集する異国の下層労働者達。
その様子をビルの影からタバコを吸いながら見ているノリオ、怪我こそ多少しているものの命には別状はない。
ノリオの隣でまだ十代と思しき少年も同じ光景をみている。

少年 「こんな世界間違ってる」

しばらくその光景を見続けたあと、ノリオは笑いながらその少年にタバコをくわえさせる。むせる少年。

少年 「ごほっ、ごほっ。あのー・・・」

何も答えずノリオは雑居ビルへと戻っていく。

シーン4

雑居ビルの自分の部屋

自分の部屋に戻ったノリオは明かりをつけ、ベッドに横たわるナタリーの死体を発見する、死体は心臓をピストルで射貫かれていて、強姦されたような形跡もある。
しかしどういうわけかナタリーの死に顔は笑顔だった。
ノリオは目をつぶらせてから、隣に横たわりただ手を握り、頭をなでてあげる。
ノリオの表情からはなにも読み取ることができない。
そこにシノブと労働者達が入ってくる。

シノブ 「あら、一緒に寝て仲良しだこと」

ピストルをノリオに向けるシノブ、目からは涙がこぼれている。
労働者たちはただうつむくばかり。
そんな状況に何も反応しないノリオ。

シノブ 「あなたが悪いのよ、わかるでしょ。言いたいことはある?」

ノリオは何も言わない、ゆっくり上半身を起こし女に穏やかな笑顔を向ける。
その瞬間ピストルをノリオに打ち込むシノブ、ノリオもまた笑顔の死に顔。
二つの奇妙な死体の顔を見つめるシノブ。
シノブの目から涙はとまり、怖いほど冷静な表情になる。

シノブ 「・・・こんな時代には良くあるお話ね」

シノブは窓から外の景色を見る。

窓の外には満月。
大通りではその月明かりを頼りに異国の下層労働者達がまだ死体を片付けている

エンド

2008年4月28日月曜日

ボサノバなんか聞かない

ボサノバなんて聞かない

(ほぼ無言劇)

登場人物

白痴のような男 ヨシオ
身なりのボロボロの女 ミミ
ルイ
軍人
セレブ達



遠い未来のとある国の出来事

シーン1

核戦争化の国。
ヨシオはセレブしか入れない、シェルターで一人音楽を聴いている。
シェルターはそれなりに広く、ソファや、テーブルなどが複数あり、テーブルには豪勢な食事やシャンパンなどがある。
セレブリティー達は惨劇など他人事のように思い思いに気楽に過ごしている。
そこに、ボロボロの身なりのミミが入ってくる、身なりこそボロボロだが、その美しさは人目見ただけでわかる。      
そんなミミにセレブの男たちはいやらしい笑みをうかべ寄っていく。
しかしミミはそんな男のことなど意に介さず、テーブルにあったチキンを手づかみで食べる。
そしてひとしきりご飯を食べたあと、その辺の床に寝転がる。
あまりに野性的な行動にセレブの男たちは呆れ果て、ミミを軽蔑するような目で見る。

シーン2

シーン1から時間経過

ヨシオは相変わらずヘッドフォンで音楽を聴いている。
シェルターには先ほどまで居なかった軍服を着ている男がいて、隣には先ほどミミにちょっかいをかけようとしていたセレブの男が二人いる。
周りはさきほどとはうって変わり緊張感のある雰囲気。
しばらしくして、その二人をつれて軍人は外に出ようとする。
しかしセレブの一人はすごく抵抗をし、ついに軍人は部下に命じそのセレブを射殺する。
軍人は何事もなかったように、男一人だけをつれて外に出る。
まだ寝ているミミ。

シーン3

シーン2から時間経過。

先ほどのことなど何もなかったかのようにすごすセレブ達。
死体は片付けられている。
ヨシオとミミは相変わらず。
1組だけ様子のおかしいセレブ、ルイ。
どうやら自分のイチゴを誰かに食べられたようだ。
しきりに、あるお皿を指さしている。
しかし誰もそれを気になどしていない。
周りからは軽蔑のかすかな笑い声がクククと漏れる
さらに憤るルイ、怒りで体が振るえ、蕁麻疹のようなしっしんが出来る。
痒くてのたうちまわるルイ。
それを見てまた笑うセレブ達(今度はアメリカのシュチェーションコメディーのような感じ)
ルイはヨシオと目が合い、おもわず椅子に座っているヨシオを跳ねとばし、ヘッドフォンをとりあげて自分の頭にかぶせる。
セレブ大爆笑(ドリフのように)、しかしセレブ達の予想に反し徐々に落ち着きをとりもどすルイ。
いぶかしげなセレブ達。

シーン4

シーン3から時間経過

ルイは陶酔しきった表情で音楽を聴いている。
セレブ達ははじめてみるルイのそんな表情に驚き、ざわつく。
ヨシオは音楽を聞けず暇になり、部屋のすみでただニヤニヤしている。
そこにセレブがやってくる。

セレブ1 「ヨシオ、あれはどんな音楽なんだ。えっ、お前は一体どんな音楽を聴いていたんだ!」

一人が来たら、次々とやってきて同じような質問をし、もの欲しげにヘッドフォンを見つめる。
そこに先ほどの軍人がやってくる。さきほどとは違い右腕がない。
軍人がきたのでまた急に態度を変えしっかりするセレブリティー。

軍人 「国家総動員法が発令された、貴様らとてもはや例外ではない。2日後シェルターは閉鎖される。」
  
それだけ言うとそそくさと軍人は去る。
唖然とするセレブ達、恐怖で腰を抜かすものもいる。
   (間)
いきなり一人のセレブが音楽を聴いていたルイに飛び掛りヘッドフォンを奪う。
それに端をはっし、ヘッドフォンをめぐるセレブ達の喧嘩が始まる。
その喧嘩はリアルなものではなく、ケーキに頭を突っ込んだりとどこか滑稽。
   (しばし喧嘩)
それをみてヨシオは、ケラケラと笑いながら、スピーカーに取り付けられていたヘッドフォンを抜く。
すると、大音量でスピーカーからボサノバが流れる。
シェルター中に響き渡るボサノバ。
しばらくそれを聞き、うっとりとするセレブ達。
大音量のせいでさっきまで寝ていたミミが起き出す。
あたりを見ると、みんなが音楽に陶酔し我を忘れている。
   (少し間)
耳を塞ぐミミ。

セレブ2 「(恍惚とした表情で)なんだ、ボサノバを聞かないのかい?」
ミミ 「・・・ボサノバなんか聞かない」

ミミはヨシオと目が合う。
ミミは扉のほうを指差し、一緒にここを出ようかと手で合図を送る。
ヨシオはうなずく。
二人は手をとりシェルターを出る。

シェルターの中に残ったセレブ達は、ボサノバのかかったシェルターの中、いつまでも恍惚とした表情で小刻みに体を動かしている。
 
エンド 

2008年4月5日土曜日

世情

 最近の世情について。少し長め。久々になんかいろいろと書く。

 お疲れさま運動という世にも奇妙な運動に出くわす。運動家たちのほうが本質的に疲れてる感じがして、暗い気持ちになる。

 ちょっと前はフリーハグなんつう運動に出くわす、プラカードをもった男性がすごく切実そうな感じがして、暗い気持ちになる。

 あと硫化水素って。なんつう凶暴な4文字熟語やねん。じつに鋭角な名前や。なんか報道ではぼやーっとした感じやけど、ほぼ自爆テロやんか。なんでそんなことになんねん。

 中国もチベット側も市民を小ばかにしてる。オリンピックを単純に楽しみにしている市民、つまり日々の単純さから逃れる娯楽としてオリンピックを捉えている大勢の人々を徹頭徹尾無視してる。僕はそういう市民を無視した姿勢にとてもイライラする。国家のこういう姿勢はとても怖い。 あと真剣に中国とチベットの問題を考えてきた人は(問題の複雑さから目をそむけずに頑張ってきた人)、どんだけ事態を単純化させたらきがすむねんと怒ってほしい。
 
 小林秀雄の本を読むと昔の日本人は(本居とか徂徠とかは)考えるということをあきらめなかったと書いてある。常識とかに惑わされず自分の主観にもとずく王道があるのだとちゃんと信じたと。孤独な作業だと思うけど、立派だなって心から思う。 僕は小林のほかに森達也も好きなんやけど、二人はほんと似ている。小林は右翼的文脈でみられ、森はネオ左翼って呼ばれてる。でも二人イデオロギーが大嫌い。さらに痛快なのはどう見られてもどうでもいいやとちゃんと思ってる。

素敵な大人。

2008年4月2日水曜日

王様きどり

王様きどり

王座にとある男が座っている。王様きどりである。
そこに執事がやってくる。

執事 おいおい。君、君。何をしておるのかね。
男 いや、特に何も。
執事 あのね、ここは王の座る場所なのだ。私以外の誰かに見つかったら王を侮辱した罪 で、死刑になるぞ。私は目をつぶっておこう。だから早くそこをどきなさい。
男 椅子に座ってるだけで死刑になるのですか。
執事 そうだ。
男 ひゃひゃひゃひゃ、そんなバカな。僕は別に人を殺したわけでも、何かを盗んだわけ でもない。椅子に座ってるだけで死刑だなんて信じられない。ひゃひゃひゃひゃ。
執事 なんて愚かな男なのだ。貴様に世界の理屈など説明してもしかたがない。とにかく そこをどけばいいのだ。
男 嫌だ。
執事 何をいうとるんだ!
男 もうすこしくらいいじゃんか。
執事 いいわけないだろう!
男 ちぇっ。

   男しぶしぶ王座から立ち上がり、去ろうとする

男 帰ると見せてまた座る。

   男、また王座に座る。

執事 何をしとるんじゃー!
男 椅子にすわってる。
執事 それはわかっとる!

   そこに王の一味が帰ってくる。

執事 王様!!!
王 これは何事じゃ。
執事 この、阿呆な男が王様きどりで、王の玉座に座っているのです。
王 殺してしまおう。すぐに。
男 王様、しばしお待ちを。よくよく考えてください。私はただ椅子にすわっているだけでございます。
執事 だから、それが・・・
男 この国は椅子にすわっているだけで死刑になるのですか?
王 そういう法律はない。
男 でしょう。
執事 だが、このいすは王座なのだ、王の椅子なのだ。
王 そうだ、やはり殺そう。
男 でも、椅子は椅子です。
王 確かにそうだ。私はどうすればいい。
男 お心に正直なってください。
王 正直にか。うーん。まぁ確かに椅子に座ってるだけで死ぬのはかわいそうだな。でもあれは特別な椅子であることも確かだ。・・・今日のところはもういいや、面倒だ。そこの阿呆、わしが身を清めてくるまで座っててよいぞ。おい、わしは風呂に入りたいのだ。

   王と家来はお風呂に出かける。また執事と男が二人になる。

男 ね、椅子に座ってるだけじゃ死なないんだよ。
執事 王の気まぐれがいい方向に作用したにすぎない。偶然だ。
男 偶然ねー。なんでもいいけど。とはいえ緊張してのどが渇いた。『爺、お水を持って来い』
執事 王様きどりめ。

   そういいながら水をグラスに注ぐ。そのとき家来があわてて戻ってくる。

家来 お前、本当に王の執事か?執事にお前のような顔の男はみたことがないが。
執事 ・・・私ですか、・・・いえ、・・・・執事きどりです

エンド

映画っていいな

 クドカン今バンド映画とってるんやね。ブログでいい映画になると興奮してた。監督が興奮出来てるのはいいね。

映画見た。

 ケンローチ先生や、カウリスマキ師匠。こういう人いないと駄目だわ。先生のスィートシックスティーンなんて、もうどうなってんだよくらいつらい映画だよ。でも、こういうのなかったものにするより、ちゃんと見てさ何か感じたほうがいいんじゃねぇの。 師匠の街のあかりだって、やさしい映画だよ、本当に。相変わらず阿呆が主人公で、阿呆は大事なもんほとんど奪われるんやけど、それでも街があって、音楽があって、タバコがあってさ、ほんの少しの恋ごころがあってさ、なんかいいのさ。それだけで、とてもいいのさ。

 映画に惚れ直したんだ。

 こんな口調はほろ酔いだから。家族と飲んだんだ。妹の恋愛が今おもろいんだよ。安っぽいドラマみたいで。あとアサリの酒蒸しが最高だったな。

 では、グッドナイト。

2008年3月28日金曜日

恋に落ちたら月に行こう

恋に落ちたら月へ行こう。※♡の部分は本当は書いてたんだけど伏せました。

路上でこんな歌を歌っている娘がいた。

「素敵なあなたに会いたくて、

遠路はるばるやって来た。

あなたを一目みるだけで、とても楽しい宵の口。

私の瞳が♡に変わる。

ほんとにほんとに♡に変わる。

嘘じゃないのよ。

嘘だと思うならよく見なさいよ。

どう、本当に♡でしょう。

あれ、あなたどこ行くの

♡になった瞳から変な汁が出ちゃうじゃない。

涙、なんかじゃないわよ、変な汁なの。

私は、涙は枯れたから変な汁しかもうでないの。

それは地球のものじゃなくて、月由来の成分なの。そんなんが体内から出るの。

みんなはそんなのルール違反だと言うけど、そんなの別にルール違反でもなんでもない!だいたいみんなって誰なんだよ!」

ガシャン(何かが割れる音)

こんな奇妙な歌詞の歌を聞いたことがなかった。さらに驚愕すべきなのは、この歌でのギターの使い方である。といっても僕は音楽に関して専門的な知識を持っていないので曖昧な表現になるが。

「素敵なあなたに会いたくて、

遠路はるばるやって来た。

あなたを一目みるだけで、とても楽しい宵の口。」

この部分までは、いわゆる吉田拓郎のようなフォーク調である。ギターもジャーンジャーンと普通にかき鳴らされている。しかし、

「私の瞳が♡に変わる。

ほんとにほんとに♡に変わる。

嘘じゃないのよ。

嘘だと思うならよく見なさいよ。」

この部分にさしかかると、急にラモーンズのようなパンク調になり、ギターがガガガガと鳴らされる。そして、

「どう、本当に♡でしょう。

あれ、あなたどこ行くの

♡になった瞳から変な汁が出ちゃうじゃない。

涙、なんかじゃないわよ、変な汁なの。」

この部分では、ギターはコードをかき鳴らすというよりは打楽器として機能するようになり、ひじでボディーの部分をぶっ叩き、どかどかと音が奏でられた。
ただ時折思い出したように奇妙なコードをジャランとならし、それが異様にサイケデリックな雰囲気をかもしだしていた。最後に

「私は、涙は枯れたから変な汁しかもうでないの。

それは地球のものじゃなくて、月由来の成分なの。そんなんが体内から出るの。

みんなはそんなのルール違反だと言うけど、そんなん別にルール違反でもなんでもない!だいたいみんなって誰なんだよ!」

 ここではギターすら弾いていない。目をつぶりただ仁王立ちでつぶやくように歌っていた。歌い終わると彼女は道ばたに落ちてあったコンクリートブロックを持ち、すぐ歌っていたところの後ろにある民家に投げ込んだ。ガラス窓が割れた。

 僕は興奮した。これこそが表現だと思った。民家からおじいちゃんが出て来た。阿修羅のような形相だ。どうするんだあの娘は。期待がふくらんだ。あの娘がどんなことをしても僕はあの娘の味方をしようと思った。これは表現なのだ。おじいちゃんには悪いがには真の表現には犠牲はつきものだ。どうするんだ。何故黙ってるんだ。まさかギターで殴るのか。そうだ、ギターで殴るに決まってる。なあにアコギなんだから大丈夫だ、死にはしない。遠慮なく殴れ。おお目が輝いた。いよいよか。殴るのだな、殴れ。後のことは僕にまかせろ。

ペコリ 

えっ。

・・・ごめんなさい・・・
・・・も、もうバイトの時間なんで行ってもいいですか・・・。
・・・ありがとう、こんなこと二度としませんから・・・

ペコリ。まさかのペコリ。あの娘はペコリとして、あやまった。しかも今からバイトに行くとは。とても普通だ。今までの勢いはどこへ。いや、しかしまてよ、あのペコリは僕が今までみたどんなペコリよりも良かった気がした。いや、気がしたのではない、良かった。ペコリ、あのペコリは事実すごく良かったんだ、これは奇跡に等しいことじゃないか!あの娘はとても素敵な人なのだ。鼓動が早くなる。つまりは恋におちてしまったのだろう。僕は決めた。あの娘に声をかけよう。バイトなんかやめて二人でこの街を出よう、そうだ、月にでも行こうよってね。

エンド

2008年3月27日木曜日

夜のつぶやき

 僕のアイデンティティーってのはそれなりに複雑で、この複雑さってのは人とのコミュニケーションに多大な影響を与えている。昔は、この影響力を感じなきゃいけないっていう状態自体に不条理を感じていた。でも少し大人になるとわかってくるんですね、ああなるほどこの複雑さがもたらすものってのはプラマイゼロやなと。

 いや、そういうのが言いたいわけじゃない。つまりプラマイゼロだとわかったところで精神の不安定さなんて消えないのですよ。わかるだけじゃあ駄目なんだよね。ちゃんとそれを認められないと、認められ続けないと。そうしないと本来存在するはずのプラスの部分が見えなくなる。

 他人を認め続けるのも、他人に認められ続けるのも、依存がもたらす快楽。これは怖い怖い欲望だと思う。でも依存を社会常識でぶった斬るのも切って血の出る人間のやることじゃない。

 こう書いている瞬間にも感情はあっちこっちいっている。本当に自由になりたいと思う。快楽からも常識からも。そのためには自由になんかすらならなくてもいいと思うことが第一歩ちゃうかと思ってたりもする。

観念的だな、まぁこういう夜もあるし。ていうか普通のことしか言ってないな、まぁいいか。

こういうこと結構物語の中に入ってると思うけどね、なんとなく。

2008年3月26日水曜日

コーヒーゼリー

コーヒーゼリー

私はまーちゃんという貧乏な男と同棲をしている。

その日、私はまーちゃんとコンビニに入った。空調が効きすぎていて寒かった。私はなにを買うでもなくぶらぶらし、結局ぼんやりと週刊誌を立ち読みしていた。まーちゃんはというとデザートコーナーの前で微動だにしない。
そのとき、まーちゃんが私を呼んだ。呼ばれるままに私はまーちゃんの方へ行く。
「あのさ、おれこのコーヒーゼリーを買おうと思うんだ」
「あ、うん、買えばいいと思うけど」
「この、コーヒーゼリーさ105円だろ。でもこっちは135円だ」
「うん」
「で、ゼリーの量も上についてるクリームの量もだいたい同じくらいだ」
「うん」
「でも、こっちを買おうと思うんだ、この二つのコーヒーゼリーには30円以上の違いがあると思うんだよ、俺には」
 よくもまあこんなにつまらないことを、顔を輝かせていう男もいるものだ。私はまーちゃんは貧乏だから素直に安いものを買えばいいとおもうのだけど。でも私はこんなつまらない男のことが大好きなのだ、きっと。

 3ヵ月後、私は交通量調査のバイトを行なうことになった。そこでパートナーになったアキオという男がなかなか良い男だった。少し好きになった。でも、まーちゃんには言わないでおくことにした。まーちゃんを傷つけるのがなんとなく面倒だったのだ。それに気づかないだろうとも思っていた。
 ところが意外なことにまーちゃんはすぐに私の浮気に気がついた。そして私に出て行けよと、冷静な顔で言い放った。
「あ、ごめん。最後にさ、冷蔵庫の中からコーヒーゼリーとってよ」
出て行こうとする私に言う。顔からはその心中はうかがい知れない。
「いいよ」
私もなるべく冷静に言う。
「また、いつものコーヒーゼリーだね」
「・・・違うよ。これは105円のやつ」

部屋を出る。少し泣いてしまった。私にはきっと永遠にこの二つのコーヒーゼリーの違いなどわからない。そのことが、そのことだけが、無性に悲しかったのだ。

エンド

2008年3月14日金曜日

死体

人里離れた田舎町。

とあるバスターミナルに男1がいる。男の足下には女の死体。
そこに男2がやってくる。

男2 おーい、待った。
男1 いや、待ってない。
男2 て、この女の人、なんでこんなところで寝ているの。風邪引くよ。
男1 いや、寝てるんじゃない。死んでるんだ。確かめたんだけど呼吸はなか
 ったよ。
男2 誰にも言わないよ、安心しろ。
男1 いや、俺が殺したわけじゃないから。
男2 誰にも言わない。八百屋のゴンさんにも、パン屋のナミちゃんにも、お
 前の母ちゃんにも誰にもいわないからな。
男1 いや、だから俺が殺したんじゃないんだって。俺もさっき来たばっかり
 で、そのときのはもうここで女が死んでたんだよ。
男2 食堂のよしこさんにも決して言わないって。
男1 おい、お前ねぇ。
男2 冗談だよ。
男2 ところで綺麗な人だね。
男1 まぁそうだな。
男2 警察呼んだ?
男1 まだ。
男2 (もじもじしながら)言いにくいんだけどさ。
男1 なんだよ、言えよ。
男2 どうしようかな。
男1 言えよ。
男2 あのさ、おっぱい触りたい。
男1 えっ、死体の。
男2 うん。
男1 なんで、お前。
男2 お、俺おっぱい触ったことなくてさ、なんか良い機会だなーと思って。
男1 なに、お前おっぱいまだなの。23にもなって。ははは。
男2 駄目かな。
男1 いや、俺に許可を求めるなよ。
男2 じゃあいいんだね、いいんだね。
男1 い、いいんじゃねぇ。減るもんじゃないし。あ、そういう問題でもな
 けど。
男2 ありがとう、さすが心の友。

   男2、ドキドキしながら死体のおっぱいを触る。

男1 どうだ。
男2 やわらかい。とても、なんというか良い感じ。
男1 し、死後硬直まだはじまってないんだな。それともおっぱいはべつもの
 かな。
男2 うわ、すげぇいい。おっぱいすげぇいい。
男1 おいおい、大げさだな。
男2 触る?
男1 なんで俺が、俺は別に普段触ってるから。
男2 そうか、出来れば生きてる人間のおっぱいのほうが良いもんな。
男1 そりゃあな。
男2 まぁいいや、もうちょっと触ろ。

   男2引き続き死体のおっぱいを触る。

男1 お前触り過ぎなんだよ!
男2 なんだよ、いきなり大きな声で。
男1 (小声で)なんか羨ましい。
男2 やっぱり触りたいの?
男1 触らない。なぜなら俺は普段触りまくって・・・
男2 じゃあ、俺が引き続き、
男1 待って!
男2 何?
男1 (小声で)お、おれ触りたい。
男2 何?
男1 俺触りたい!
男2 どれくらい
男1 どれくらいって、まぁ軽く。
男2 じゃあ駄目。
男1 嘘、嘘、すごく触りたい。実は、俺もおっぱい触ったことないんだ!

   男1、男2の様子を伺う。男2は無言。

男2 失望したよ。
男1 ごめん、今まで俺見栄はってたんだ。
男2 見栄なんかはるなよ、俺たち親友なんだから。
男1 ごめん、本当に。
男2 こういうのは金輪際なしだから。

   男2は男1におっぱいをゆずる。

男2 どう、おっぱい?いいでしょ。
男1 やわらかい。すごくいい。

   その時、突然女の目が開く。

男1 うわ!
男2 なになにどうしたの。

   男1、女と目が合う。

男1 死体が、い、生返った。
男2 え!

   男2腰をぬかす。女は起き上がる。

男2 ゾンビだ、女ゾンビ!!
女 いや、たぶん違います。
男2 しゃべった、ゾンビがしゃべった!
男1 か、確認なんすけど。あ、あのー、死んでましたよね?
女 はい、確かに。
男2 じゃあ生返ったんだ、やっぱり女ゾンビじゃないか!
女 というかですね。あなた達、おっぱいもむのが下手で、揉みが心肺蘇生の  
 役割を担ったんだと思います。

   男二人みるみる顔が真っ赤になる。

男1 そうだったのか、喜んでいいのか、悲しんでいいのか。
男2 もしかして途中で気づいていたとか。
女 あ、そうですね、はい。
男1 なんで今まで黙っていたのですか。
男2 そうだ、おかしいじゃないか。

   女は顔が真っ赤になる。

女 実は・・・私も、初めてなの。
男1、2 何が?
女 おっぱい揉まれるの。

エンド

2008年3月11日火曜日

うしじま訓

長いニッキ。

 バイトの予定が急遽流れる。なんでやねん、準備してたのに。またモチベーションあげてさがさなあかんやん。短期バイトって探すの結構難しいのに。こんなんばっかりしてられない、対策を練らないと。

 取材許可は第二段階。相手も手ごわい。次は手紙や手紙。レター。

 行動を伴う結果というのはネガティブばかりではない何かが残る。だけど「やらなければいけないことをやっていない自分」というのはネガティブマインドしか残らない。 「やらなければいけないことをやっていない自分」を見つけるスピードというのは、どんどん早くなってる気がする。これは一種の現代病。自分に限ったことではない(mixiなんて「やらなければいけないことをやっていない自分」を文章化し、それを自分で自覚し無限ループに誘う装置でしょう、良く働く場合もあるとは思うけど)
それで、気づいたときにおこる脳内の反応として、

ケース① 「わかっとるんじゃー、ボケ」と、自分内逆切れ。
ケース② 「でもね、無理なんだよ今は」と、自分内言い訳

の二つがあると仮定する、

①は表現とかになる。②はもう退廃にしかならん。しかし②が転じて①になることはある。大にして表現者は②が転じて①になるまで退廃する。そしてネガティブの沸点にまでいきものを生み出し、少数の成功する人は巨万の富を得て、大多数の人は落ちぶれてウシジマ君(漫画、小学館)のお世話になる。
※これは表現というものが自分にとっての楽園であると過信している人には当てはまらない。ただ表現が自分にとって楽園であると過信している人の表現なんて魅力的ではない、少なくとも自分にとって。
 しかし①も②も人生を肉体的も精神的にも健康に過ごすためには、マイナスにしか働かないから、基本やらなければいけないことはちゃんとやるのがよいと思う。でもやらなければいけないことなんてちゃんとやりつづけたら、ホリエモンとかになっちゃうと思うけどね、まぁこれは想定の範囲内、範囲内。
 自分はというと、ホリエモンにもなりたくないけど、ウシジマ君の世話にだけはなりたくない。うしじま君、まじで地獄なんですよ。
 ケース②のようなふるまいが多い私のような方は、ウシジマ君を読み、基本しっかりとやるべきことやる方向に精神を置いておくことを勧める。うーんとつまり・・・

「ええかっこしない」

これにつきる。

2008年3月6日木曜日

フィクショナルな本音

フィクショナルな本音  

 今日から凄ーく暇になる。大学の仕事が3月末までないので。こういうときこそ制作だわい、と思うけど、そんな都合よくなんか予定があるわけではないので、こう自らやらんといけない。でも自らやるには軍資金なんてもんが必要で、それを得るのは働かねばならない。でも働くのって短い期間の派遣とかしかないから、いやだなーなんて思う。それにもうなんかすぐそこの通りで工事してるから、ドリルの音凄い。半端ない。頭痛い。こんなん誰が許可するの、こんな爆音だしていいわけないじゃないっすか。
 ぐずぐずとmixi。ああもうドリルほんとやめて欲しい!ホステスの人とか昼間寝てるかもしれないじゃないか!!暇な人間(ニートとか私とか老人とか)が家でDVDとか見たいのに見れないじゃないか!!!

 家にも入れない。

 働かねば。ぐぐぐ。いや、もうなに目先の時給850円から1000円に執着しているんだ。馬鹿野郎。太宰治も石川啄木も金なんか無かったんだよ。いいじゃないか、春先の淡い感じのコートなんか買えなくても。いいじゃないか、無印のいい感じの座椅子も買えなくて。実家だから草とか食わなくても済むじゃないか。息子は大丈夫だろうか?と親に心配されるだけじゃないか。夢は大きくいこう。目指せ!日本におけるクストリッツァ(有名映画監督)的ポジション。それにはカンヌだ。でもカンヌって出品フィルムだよ、フィルムは金かかるよ。バイトだよね、やっぱり、あははは。以下無限かつ夢幻ループ地獄、または天国。

2008年2月28日木曜日

金八

金八よかった。どうなんねやろ。ミカとほんまにどうにかなったらええねん、ミカもちょっと金八好きになってたと思うけどなー。それにどうにかなったとしても金八の味方です。次週も見れたらええのにな。

にしても昨今のセクハラ、パワハラの過敏さったらない

2008年2月26日火曜日

『中学生』

シーン1 (雨ちゃんの部屋) 

いたずら電話が好きな中学生二人。今日もイタ電話を試みる。

裕也 「雨ちゃん、また名人芸頼むわ」
雨ちゃん 「わかった」

   雨ちゃん、適当に番号を押し電話をかける。

雨ちゃん 「お、かかったかかった」
電話の主 「・・・もしもし」
雨ちゃん 「わしや」
電話の主 「・・・はぁ、ちょっと待って」
雨ちゃん 「わしや」
電話の主 「いや、わし言うてもいろいろあるし、紙の和紙とか、動物の鷲とか、大阪弁
 のわしとか。なんのわしですか」

   雨ちゃんは電話を離して、裕也に言う。

雨ちゃん 「こいつアホや、{わし}の意味わかってないわ、鳥の鷲とか意うてる」
裕也 「(笑いをこらえながら)なんでやねん、いきなり電話で鷲とか普通いうか、雰囲気でわかるやん」

   雨ちゃん、電話に戻り

雨ちゃん 「わしや言うてるやろ」
電話の主 「・・・あ、もしかしてわっしー先輩?」
雨ちゃん 「えっ、そ、そうや、わっしーや」
裕也 「(笑いをこらえながら)誰やねん、わっしーて、どんな展開や」
電話の主 「もう、さっさと名乗ってくださいよ、なんで非通知なんすか。いたずらと思いましたよ」
雨ちゃん 「違うよ」
電話の主 「もう、僕いたずら嫌いなん知ってるでしょう、あ、そうや、ところでどうなりました、あいつ?」
雨ちゃん 「あ、あいつ?えーっと、うん、うん」
電話の主 「なんなんすか、もうやったんでしょ」
雨ちゃん 「ああ、うんやった、やった、あいつスタイル良くてさ」
電話の主 「もうーなに言ってはるんですか、あいつって武田幸輔ですよ。殺したんでしょ?」
雨ちゃん 「た、武田ね。うん、武田は殺した、うん。ああうん、やったったよ。もう死 んでしまうくらいに、ボコボコしたったわ、そっちね、うん」
電話の主 「えっ、ピストルじゃないんすか?」
雨ちゃん 「えっ、えっ、えっ、ピストル?」
電話の主 「言うてたじゃないですか、チャカで殺すって」
裕也 「雨ちゃん、ちょっとなにピストルって」

雨ちゃん顔が真っ青になってる。

電話の主 「わっしー先輩どうしたんすか?」
雨ちゃん 「いや、ちょっと寒気が」
電話の主 「風邪ですか?気をつけてください。あとなんかね、本山からまた殺しの依頼 があったんすよ。しかも同時に3人も殺ってくれって。いや、僕言うたんすよ、いくらわっしー先輩でも 3人同時は無理やって。そしたらくってかかってきたもんやから、腹たってもうてね、僕も短気ですわ、 ぶすって」
雨ちゃん 「・・・ぶすって、ぶさいく方面の?」
裕也 「おいおい、雨ちゃん、何いうてんねん、顔色悪すぎやで」
電話の主 「もう今日のわっしー先輩変ですよ。もちろん、ドスを腹につき刺す・・・」
雨ちゃん 「うわー!完全に殺し屋!!」

   雨ちゃん、携帯をほうり投げる。



シーン2(電話の主の部屋)

中学生の二人組みがいる。

主の友人 「どうなった?」
電話の主 「わからん、怖くてもう聞けなくなったんちゃう、完全に殺し屋って言ってた」
二人 「はははははは」

2008年2月24日日曜日

サイード

佐藤真監督 サイード out of placeを見る。

アイデンティテーなんていう怪物に挑み、花と散ったサイード。

彼の不在と、それとは対照的にイスラエルの街に息づく彼の思考の躍動をカメラは美しく切り取っている。逆言うとそれ以外が写っていない。

ドキュメンタリーとしてはあまりに観念的。でも間違いではない。



以下ウェキペディア

サイードはキリスト教徒パレスチナ人としてエルサレムに生まれたが、既に家族はエジプトカイロに住んでいた。しかし、エルサレムにはサイードの叔母の家があり、彼は幼年期の多くの時間をそこで過ごした。学士号をプリンストン大学で取り、修士号と博士号はハーバード大学から取得した。英文学比較文学の教授をコロンビア大学で40年勤めた(1963年~2003年)ほか、ハーバード大学、ジョンズ・ホプキンス大学エール大学でも教鞭を執った。 なお、サイードの経歴に関して、自身による詐称があったという批判が存在する。「パレスチナにずっと在住していたと詐称し、ユダヤ人に追い出されたなどとありもしない被害をでっち上げた。事実は、エジプトのカイロにて、富裕層の子弟として生まれ育ったため、社会主義政策を掲げるナセルに追い出されたというのが実情である」というものだが、サイード自身の発言の検証、自伝『Out Of Place』の発売時期の検討により、悪意による中傷であるとみなす意見が有力である。
学者としては、サイードはオリエンタリズムの理論で最もよく知られている。彼は著書『オリエンタリズム』(1978年)において、西欧文化におけるアジア中東の誤った、またはロマンチックに飾り立てられたイメージの長い伝統が、ヨーロッパアメリカ植民地主義的・帝国主義的な野望の隠れた正当化として作用してきたと主張している。
パレスチナ問題の発言者として、彼はイスラエル領とその占領地域およびそれ以外の土地に住むパレスチナ人の権利を擁護している。サイードは長年にわたってパレスチナ民族評議会の一員であったが、1993年に調印されたオスロ合意をパレスチナ難民のイスラエル領へ帰郷する権利を軽視したものであると考えているため、ヤーセル・アラファートとは決裂した。彼はまた、イスラエルがパレスチナ側からの承認と引き換えに占領しているヨルダン川西岸とガザ地区から撤退し、そこに住むパレスチナ人の将来の自立について交渉を開始するというオスロ合意の取り決めにも、そのように分離させるのではなく、代わりにアラブ人ユダヤ人が等しい権利を持つような新たな国を作るべきとの「一国家解決」論を主張して反対している。イスラエルのパレスチナ占領に関する彼の著書には、『パレスチナ問題』(1979年)、『The Politics of Dispossesion』(1994年)がある。
彼はまた、熟練したピアニストとして、雑誌『The Nation』に音楽批評を長年にわたって寄稿した。音楽評論をまとめた著書や、音楽学との学際的な講義も行なっており、忌日が偶然にも誕生日にあたるグレン・グールドの熱心な信奉者として知られていた。1999年には親しい友人でアルゼンチン生まれのイスラエル人のダニエル・バレンボイムと共に、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団を作った。これは才能ある若いクラシックの音楽家たちをイスラエルとアラブ諸国の双方から毎年夏に集めるという試みである。サイードとバレンボイムはこの業績が「国際的な理解に貢献した」という理由で2002年度のスペイン皇太子賞を受賞した。英語、アラビア語、フランス語に堪能だった。
サイードは晩年は白血病を患って教鞭をとることもまれだった。2003年9月25日、長い闘病生活の末に、ニューヨークで没した。67歳だった。

もう少し紹介。松岡正剛のサイト
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0902.html

権力は弱さにも宿る。どっちにもくみしたくない。そうすると必然として孤独との戦いを強いられることにもなる。

サイードやこの映画を描いた佐藤さんみたいな人にはなかなかなれないだろう。でも彼らの孤独の深さをあざ笑うような人間にもなりたくない。

と、するとこれから知らなければいけないことがたくさんある。

もしこれを読んだ人が少しでもサイード、佐藤真、ひいてはイスラエル、パレスチナの問題に興味を持つてもらえれば嬉しい。僕も何も知らないから、少しずつ知っていこうと思う。

あ、でも知るってのは知識を蓄積することではないらしいよ。実感することらしいのさ。批評家の小林秀雄が言ってた。難しい話しだ。

道は果てしなくつづくなぁ。でもだからこそ行くのさ。

『ぼんやり野郎』

ある日

ぼんやり野郎が歩いている。多くの人も歩いている。

彼は立ち止まりぼんやり野郎に声をかける。

「ぼんやり野郎、行くとこはあるのか?」

ぼんやり野郎は声をかけられているのに気づいていない。

ぼんやりしているから。

「おい、聞いているのか、ぼんやり野郎。行くとこがなければ僕の家に遊びに来いよ」

ぼんやり野郎はようやく気づく。そしてぼんやりと首を横に振る。

ぼんやり野郎は手が差し伸べられていることに気づいていない。

ぼんやりしているから。

ぼんやり野郎に声をかける人など彼ぐらいだというのに。

ぼんやり野郎はぼんやりと去っていった。彼はもう何も言わなかった。

また別の日

ぼんやり野郎は歩いている。多くの人も歩いている。

彼は立ち止まり声をかける。

「ぼんやり野郎、行くとこはあるのか?」

ある日のぼんやり野郎はこの日の彼になっていた。ある日の彼はこの日のぼんやり野郎になっていた。

ぼんやりとした空の下、そのことには誰も気づいていない。

誰も気づいていない。

それどころか流れる人々は立ち止まる気配すら未だ見せずにいる。

2008年2月21日木曜日

きんぱち

 きんぱち相変わらずすげー良い。カット割が丁寧。みんなひねくれて、レディオヘッドとかオウテカとか聞かないできんぱちみれば良いと思う。

 今日は京都タワーのほんわかマスコットガール、「たわわちゃん」を演出してきた。うまいこと出来たかな。祈るような気持ち。編集は自分でやらんからなー、どうなるんだろうか。詳細はまた書きます、楽しいものに仕上がって欲しい。

 どんな表現行為にも答えはないけどゴールはあると思う。

2008年2月20日水曜日

悪夢探偵

 スピード感というのは映画において、凄い重要な要素を含んでいると思う。カットを細かく割る、音楽に合わせて割る、カメラをもって走る。カメラを放り投げてみる。カメラマンもろとも大砲に押入れ、人間大砲として被写体めがけて撃ってみる。クレーンを高速で作動させる、いっそクレーンもろとも大砲に・・・。いやもっとあるし、映画のスピードはそういう物理的な方法論だけでもないだろう。スピードってのは観客をあきさせないためには重要で、ハリウッド映画は概ねスピード感があるものが多いでしょ。で、日本映画にはあまりない、スピード感て。予算の影響は大きいとは思う。カメラを複数用意したり、CG使ったり、大砲も・・・、ね。

 で、『悪魔探偵』はスピード感を得るための仕掛けが尋常じゃないんすよ。大砲どころじゃない。もう塚本監督の作家性はスピードにありと断言したい。ハリウッドでは正確にはまねできないでしょう。スピードを狂信的に求めて、それが作家独自の芸術になってるから。ダークで素晴らしい美術もスピードに観客を誘うための巧妙な仕掛けの一つだと思うな。とにっかく過剰。

 『悪夢探偵2』は映画館で見ます。スピード!スピード!スピード!を期待します。ああ楽しみ。

2008年2月19日火曜日

『毒饅頭と雪饅頭』

『毒饅頭と雪饅頭』
                               

僕は噂の毒饅頭を食べてしまったみたいだ。

眩暈、吐き気、動悸、が襲ってくる。しばらくすると気絶してしまった。

夢を見た。

中国の工場の中、白い作業服を着た連中が、こっちをじっと見ている。

「ごめんよ、お前が食べるとは思わなかったんだ、お前は俺たちの味方だもんな」

味方かな、少し考えたが何も言わなかった。

「ごめんよ、お前にまで苦しい思いをさせて、俺たちはやっぱり地獄におちてしまうよな、わかっているんだ、わかってるんだよ」

たぶん僕は死なないからそこまで言はなくても、と言いかけたが、なんとなく言い留まった。

目が覚めた、目覚めると病院のベッドの上にいた。

僕は中国人、あいつらの悲しみを知らないわけでもない、しかし夢の中で結局あいつらに何も言えなかった。後悔が残る。

窓の外には、雪。



ガチヤ、ドアが開き、恋人が入ってきた。

「気がついた」
「うん」
「雪積もってるよ」
「それ何、雪ダルマ?にしては頭の部分がないよね」
「雪ダルマじゃないよ、雪饅頭。食べてみる、毒入りかも?」

恋人は笑う、僕も笑う。不謹慎な冗談。なぜか少し体が楽になった。

僕は雪饅頭を食べる。これを食べて死んだって僕はかまわない。

雪饅頭はなぜかとても甘い味がした。毒入り?まさか。




雪饅頭を食べた3分後僕は死んでしまった。

死因は雪饅頭、ではなく、毒饅頭。使っていた薬品が人体に重大な影響を及ぼす劇薬だったそうだ。

恋人は最後に不謹慎な冗談を言ってしまったことを悔やんでいた。悔やむことはない、それで救われたのだから。最後に会えてよかった。

僕は天国であいつらを待っている。大きな声で言いたいことが出来たのだ。

名刺

 名刺作りました、100枚。単純なことしかしてませんが、マイデザインです。色々な人にすっごいあげたい。あげまくりたい。ちなみに映像作家と名乗ってます。名乗ったもん勝ち。 にしても名刺って表記はなんか攻撃的だな。なんせ刺す名だもん。

 今から風呂に入り、『悪夢探偵』見ます。感想も書きます。

2008年2月17日日曜日

お葬式

 昨日親戚のお葬式に出る。

 黒のネクタイがなかったので、急遽100均で購入。なんでも売ってる100均。てらてらしたなんとも形容しがたい素材のネクタイ。とにかくてらてらしている。中国あたりで時給20円くらいで作らしているのだろうなー。それを100円で消費し、なんとか間に合わせている私。しかし100均はなんでも売っている。しまいには恋や友情も100均で買える時代が来るでしょう。もちろんそれは中国で時給20円で大量生産されています。そして私はそれを購入し、また様々なことをなんとかやり過ごすのでしょうか。

 故人には残された者たちの幸せやこの世の未来など考えず、天国でお酒でも飲み穏やかに過ごしていただきたいと思います。

2008年2月12日火曜日

2回目

すぐ二回目

自作の映像を二つ良ければご覧下さい、小さい画面ですが・・・

東京ビデオフェスティバル 佳作入賞 http://www.jvc-victor.co.jp/tvf/

京都タワー http://kyotoroadtower.seesaa.net/

感想なんぞありましたらコメント下さいな。

初ブログ

 ブログ始めます。いろいろ書きます。良ければ読んで下さい。