2008年3月28日金曜日

恋に落ちたら月に行こう

恋に落ちたら月へ行こう。※♡の部分は本当は書いてたんだけど伏せました。

路上でこんな歌を歌っている娘がいた。

「素敵なあなたに会いたくて、

遠路はるばるやって来た。

あなたを一目みるだけで、とても楽しい宵の口。

私の瞳が♡に変わる。

ほんとにほんとに♡に変わる。

嘘じゃないのよ。

嘘だと思うならよく見なさいよ。

どう、本当に♡でしょう。

あれ、あなたどこ行くの

♡になった瞳から変な汁が出ちゃうじゃない。

涙、なんかじゃないわよ、変な汁なの。

私は、涙は枯れたから変な汁しかもうでないの。

それは地球のものじゃなくて、月由来の成分なの。そんなんが体内から出るの。

みんなはそんなのルール違反だと言うけど、そんなの別にルール違反でもなんでもない!だいたいみんなって誰なんだよ!」

ガシャン(何かが割れる音)

こんな奇妙な歌詞の歌を聞いたことがなかった。さらに驚愕すべきなのは、この歌でのギターの使い方である。といっても僕は音楽に関して専門的な知識を持っていないので曖昧な表現になるが。

「素敵なあなたに会いたくて、

遠路はるばるやって来た。

あなたを一目みるだけで、とても楽しい宵の口。」

この部分までは、いわゆる吉田拓郎のようなフォーク調である。ギターもジャーンジャーンと普通にかき鳴らされている。しかし、

「私の瞳が♡に変わる。

ほんとにほんとに♡に変わる。

嘘じゃないのよ。

嘘だと思うならよく見なさいよ。」

この部分にさしかかると、急にラモーンズのようなパンク調になり、ギターがガガガガと鳴らされる。そして、

「どう、本当に♡でしょう。

あれ、あなたどこ行くの

♡になった瞳から変な汁が出ちゃうじゃない。

涙、なんかじゃないわよ、変な汁なの。」

この部分では、ギターはコードをかき鳴らすというよりは打楽器として機能するようになり、ひじでボディーの部分をぶっ叩き、どかどかと音が奏でられた。
ただ時折思い出したように奇妙なコードをジャランとならし、それが異様にサイケデリックな雰囲気をかもしだしていた。最後に

「私は、涙は枯れたから変な汁しかもうでないの。

それは地球のものじゃなくて、月由来の成分なの。そんなんが体内から出るの。

みんなはそんなのルール違反だと言うけど、そんなん別にルール違反でもなんでもない!だいたいみんなって誰なんだよ!」

 ここではギターすら弾いていない。目をつぶりただ仁王立ちでつぶやくように歌っていた。歌い終わると彼女は道ばたに落ちてあったコンクリートブロックを持ち、すぐ歌っていたところの後ろにある民家に投げ込んだ。ガラス窓が割れた。

 僕は興奮した。これこそが表現だと思った。民家からおじいちゃんが出て来た。阿修羅のような形相だ。どうするんだあの娘は。期待がふくらんだ。あの娘がどんなことをしても僕はあの娘の味方をしようと思った。これは表現なのだ。おじいちゃんには悪いがには真の表現には犠牲はつきものだ。どうするんだ。何故黙ってるんだ。まさかギターで殴るのか。そうだ、ギターで殴るに決まってる。なあにアコギなんだから大丈夫だ、死にはしない。遠慮なく殴れ。おお目が輝いた。いよいよか。殴るのだな、殴れ。後のことは僕にまかせろ。

ペコリ 

えっ。

・・・ごめんなさい・・・
・・・も、もうバイトの時間なんで行ってもいいですか・・・。
・・・ありがとう、こんなこと二度としませんから・・・

ペコリ。まさかのペコリ。あの娘はペコリとして、あやまった。しかも今からバイトに行くとは。とても普通だ。今までの勢いはどこへ。いや、しかしまてよ、あのペコリは僕が今までみたどんなペコリよりも良かった気がした。いや、気がしたのではない、良かった。ペコリ、あのペコリは事実すごく良かったんだ、これは奇跡に等しいことじゃないか!あの娘はとても素敵な人なのだ。鼓動が早くなる。つまりは恋におちてしまったのだろう。僕は決めた。あの娘に声をかけよう。バイトなんかやめて二人でこの街を出よう、そうだ、月にでも行こうよってね。

エンド

2008年3月27日木曜日

夜のつぶやき

 僕のアイデンティティーってのはそれなりに複雑で、この複雑さってのは人とのコミュニケーションに多大な影響を与えている。昔は、この影響力を感じなきゃいけないっていう状態自体に不条理を感じていた。でも少し大人になるとわかってくるんですね、ああなるほどこの複雑さがもたらすものってのはプラマイゼロやなと。

 いや、そういうのが言いたいわけじゃない。つまりプラマイゼロだとわかったところで精神の不安定さなんて消えないのですよ。わかるだけじゃあ駄目なんだよね。ちゃんとそれを認められないと、認められ続けないと。そうしないと本来存在するはずのプラスの部分が見えなくなる。

 他人を認め続けるのも、他人に認められ続けるのも、依存がもたらす快楽。これは怖い怖い欲望だと思う。でも依存を社会常識でぶった斬るのも切って血の出る人間のやることじゃない。

 こう書いている瞬間にも感情はあっちこっちいっている。本当に自由になりたいと思う。快楽からも常識からも。そのためには自由になんかすらならなくてもいいと思うことが第一歩ちゃうかと思ってたりもする。

観念的だな、まぁこういう夜もあるし。ていうか普通のことしか言ってないな、まぁいいか。

こういうこと結構物語の中に入ってると思うけどね、なんとなく。

2008年3月26日水曜日

コーヒーゼリー

コーヒーゼリー

私はまーちゃんという貧乏な男と同棲をしている。

その日、私はまーちゃんとコンビニに入った。空調が効きすぎていて寒かった。私はなにを買うでもなくぶらぶらし、結局ぼんやりと週刊誌を立ち読みしていた。まーちゃんはというとデザートコーナーの前で微動だにしない。
そのとき、まーちゃんが私を呼んだ。呼ばれるままに私はまーちゃんの方へ行く。
「あのさ、おれこのコーヒーゼリーを買おうと思うんだ」
「あ、うん、買えばいいと思うけど」
「この、コーヒーゼリーさ105円だろ。でもこっちは135円だ」
「うん」
「で、ゼリーの量も上についてるクリームの量もだいたい同じくらいだ」
「うん」
「でも、こっちを買おうと思うんだ、この二つのコーヒーゼリーには30円以上の違いがあると思うんだよ、俺には」
 よくもまあこんなにつまらないことを、顔を輝かせていう男もいるものだ。私はまーちゃんは貧乏だから素直に安いものを買えばいいとおもうのだけど。でも私はこんなつまらない男のことが大好きなのだ、きっと。

 3ヵ月後、私は交通量調査のバイトを行なうことになった。そこでパートナーになったアキオという男がなかなか良い男だった。少し好きになった。でも、まーちゃんには言わないでおくことにした。まーちゃんを傷つけるのがなんとなく面倒だったのだ。それに気づかないだろうとも思っていた。
 ところが意外なことにまーちゃんはすぐに私の浮気に気がついた。そして私に出て行けよと、冷静な顔で言い放った。
「あ、ごめん。最後にさ、冷蔵庫の中からコーヒーゼリーとってよ」
出て行こうとする私に言う。顔からはその心中はうかがい知れない。
「いいよ」
私もなるべく冷静に言う。
「また、いつものコーヒーゼリーだね」
「・・・違うよ。これは105円のやつ」

部屋を出る。少し泣いてしまった。私にはきっと永遠にこの二つのコーヒーゼリーの違いなどわからない。そのことが、そのことだけが、無性に悲しかったのだ。

エンド

2008年3月14日金曜日

死体

人里離れた田舎町。

とあるバスターミナルに男1がいる。男の足下には女の死体。
そこに男2がやってくる。

男2 おーい、待った。
男1 いや、待ってない。
男2 て、この女の人、なんでこんなところで寝ているの。風邪引くよ。
男1 いや、寝てるんじゃない。死んでるんだ。確かめたんだけど呼吸はなか
 ったよ。
男2 誰にも言わないよ、安心しろ。
男1 いや、俺が殺したわけじゃないから。
男2 誰にも言わない。八百屋のゴンさんにも、パン屋のナミちゃんにも、お
 前の母ちゃんにも誰にもいわないからな。
男1 いや、だから俺が殺したんじゃないんだって。俺もさっき来たばっかり
 で、そのときのはもうここで女が死んでたんだよ。
男2 食堂のよしこさんにも決して言わないって。
男1 おい、お前ねぇ。
男2 冗談だよ。
男2 ところで綺麗な人だね。
男1 まぁそうだな。
男2 警察呼んだ?
男1 まだ。
男2 (もじもじしながら)言いにくいんだけどさ。
男1 なんだよ、言えよ。
男2 どうしようかな。
男1 言えよ。
男2 あのさ、おっぱい触りたい。
男1 えっ、死体の。
男2 うん。
男1 なんで、お前。
男2 お、俺おっぱい触ったことなくてさ、なんか良い機会だなーと思って。
男1 なに、お前おっぱいまだなの。23にもなって。ははは。
男2 駄目かな。
男1 いや、俺に許可を求めるなよ。
男2 じゃあいいんだね、いいんだね。
男1 い、いいんじゃねぇ。減るもんじゃないし。あ、そういう問題でもな
 けど。
男2 ありがとう、さすが心の友。

   男2、ドキドキしながら死体のおっぱいを触る。

男1 どうだ。
男2 やわらかい。とても、なんというか良い感じ。
男1 し、死後硬直まだはじまってないんだな。それともおっぱいはべつもの
 かな。
男2 うわ、すげぇいい。おっぱいすげぇいい。
男1 おいおい、大げさだな。
男2 触る?
男1 なんで俺が、俺は別に普段触ってるから。
男2 そうか、出来れば生きてる人間のおっぱいのほうが良いもんな。
男1 そりゃあな。
男2 まぁいいや、もうちょっと触ろ。

   男2引き続き死体のおっぱいを触る。

男1 お前触り過ぎなんだよ!
男2 なんだよ、いきなり大きな声で。
男1 (小声で)なんか羨ましい。
男2 やっぱり触りたいの?
男1 触らない。なぜなら俺は普段触りまくって・・・
男2 じゃあ、俺が引き続き、
男1 待って!
男2 何?
男1 (小声で)お、おれ触りたい。
男2 何?
男1 俺触りたい!
男2 どれくらい
男1 どれくらいって、まぁ軽く。
男2 じゃあ駄目。
男1 嘘、嘘、すごく触りたい。実は、俺もおっぱい触ったことないんだ!

   男1、男2の様子を伺う。男2は無言。

男2 失望したよ。
男1 ごめん、今まで俺見栄はってたんだ。
男2 見栄なんかはるなよ、俺たち親友なんだから。
男1 ごめん、本当に。
男2 こういうのは金輪際なしだから。

   男2は男1におっぱいをゆずる。

男2 どう、おっぱい?いいでしょ。
男1 やわらかい。すごくいい。

   その時、突然女の目が開く。

男1 うわ!
男2 なになにどうしたの。

   男1、女と目が合う。

男1 死体が、い、生返った。
男2 え!

   男2腰をぬかす。女は起き上がる。

男2 ゾンビだ、女ゾンビ!!
女 いや、たぶん違います。
男2 しゃべった、ゾンビがしゃべった!
男1 か、確認なんすけど。あ、あのー、死んでましたよね?
女 はい、確かに。
男2 じゃあ生返ったんだ、やっぱり女ゾンビじゃないか!
女 というかですね。あなた達、おっぱいもむのが下手で、揉みが心肺蘇生の  
 役割を担ったんだと思います。

   男二人みるみる顔が真っ赤になる。

男1 そうだったのか、喜んでいいのか、悲しんでいいのか。
男2 もしかして途中で気づいていたとか。
女 あ、そうですね、はい。
男1 なんで今まで黙っていたのですか。
男2 そうだ、おかしいじゃないか。

   女は顔が真っ赤になる。

女 実は・・・私も、初めてなの。
男1、2 何が?
女 おっぱい揉まれるの。

エンド

2008年3月11日火曜日

うしじま訓

長いニッキ。

 バイトの予定が急遽流れる。なんでやねん、準備してたのに。またモチベーションあげてさがさなあかんやん。短期バイトって探すの結構難しいのに。こんなんばっかりしてられない、対策を練らないと。

 取材許可は第二段階。相手も手ごわい。次は手紙や手紙。レター。

 行動を伴う結果というのはネガティブばかりではない何かが残る。だけど「やらなければいけないことをやっていない自分」というのはネガティブマインドしか残らない。 「やらなければいけないことをやっていない自分」を見つけるスピードというのは、どんどん早くなってる気がする。これは一種の現代病。自分に限ったことではない(mixiなんて「やらなければいけないことをやっていない自分」を文章化し、それを自分で自覚し無限ループに誘う装置でしょう、良く働く場合もあるとは思うけど)
それで、気づいたときにおこる脳内の反応として、

ケース① 「わかっとるんじゃー、ボケ」と、自分内逆切れ。
ケース② 「でもね、無理なんだよ今は」と、自分内言い訳

の二つがあると仮定する、

①は表現とかになる。②はもう退廃にしかならん。しかし②が転じて①になることはある。大にして表現者は②が転じて①になるまで退廃する。そしてネガティブの沸点にまでいきものを生み出し、少数の成功する人は巨万の富を得て、大多数の人は落ちぶれてウシジマ君(漫画、小学館)のお世話になる。
※これは表現というものが自分にとっての楽園であると過信している人には当てはまらない。ただ表現が自分にとって楽園であると過信している人の表現なんて魅力的ではない、少なくとも自分にとって。
 しかし①も②も人生を肉体的も精神的にも健康に過ごすためには、マイナスにしか働かないから、基本やらなければいけないことはちゃんとやるのがよいと思う。でもやらなければいけないことなんてちゃんとやりつづけたら、ホリエモンとかになっちゃうと思うけどね、まぁこれは想定の範囲内、範囲内。
 自分はというと、ホリエモンにもなりたくないけど、ウシジマ君の世話にだけはなりたくない。うしじま君、まじで地獄なんですよ。
 ケース②のようなふるまいが多い私のような方は、ウシジマ君を読み、基本しっかりとやるべきことやる方向に精神を置いておくことを勧める。うーんとつまり・・・

「ええかっこしない」

これにつきる。

2008年3月6日木曜日

フィクショナルな本音

フィクショナルな本音  

 今日から凄ーく暇になる。大学の仕事が3月末までないので。こういうときこそ制作だわい、と思うけど、そんな都合よくなんか予定があるわけではないので、こう自らやらんといけない。でも自らやるには軍資金なんてもんが必要で、それを得るのは働かねばならない。でも働くのって短い期間の派遣とかしかないから、いやだなーなんて思う。それにもうなんかすぐそこの通りで工事してるから、ドリルの音凄い。半端ない。頭痛い。こんなん誰が許可するの、こんな爆音だしていいわけないじゃないっすか。
 ぐずぐずとmixi。ああもうドリルほんとやめて欲しい!ホステスの人とか昼間寝てるかもしれないじゃないか!!暇な人間(ニートとか私とか老人とか)が家でDVDとか見たいのに見れないじゃないか!!!

 家にも入れない。

 働かねば。ぐぐぐ。いや、もうなに目先の時給850円から1000円に執着しているんだ。馬鹿野郎。太宰治も石川啄木も金なんか無かったんだよ。いいじゃないか、春先の淡い感じのコートなんか買えなくても。いいじゃないか、無印のいい感じの座椅子も買えなくて。実家だから草とか食わなくても済むじゃないか。息子は大丈夫だろうか?と親に心配されるだけじゃないか。夢は大きくいこう。目指せ!日本におけるクストリッツァ(有名映画監督)的ポジション。それにはカンヌだ。でもカンヌって出品フィルムだよ、フィルムは金かかるよ。バイトだよね、やっぱり、あははは。以下無限かつ夢幻ループ地獄、または天国。