2009年8月3日月曜日

在日の恋人

『在日の恋人』とという本を読む。

 作者は高嶺格さんという現代美術作家。作者が「在日の恋人」と向き合い、その向き合っている生活そのものを作品にしていく過程を綴ったエッセイ。

 まず「在日」と書くところがいい。在日韓国人や在日朝鮮人なんかよりもショッキングではっとする、しかしそこに「恋人」と続けるとなぜかスマートな感じもうける。美術家ならではの言葉のデザイン感覚だなーと思う。

 思ったことを少々。作者の生活と血と汗と「在日の恋人」の苦悩が溶け合い、一つの作品に昇華されていくのが、なんだか羨ましく、芸術のあり方として幸福だなーと感じた。あと最後の方に納められている「在日の恋人」の凛とした目(出産の時の写真)になんだか僕は、同じ「在日」として背筋がただされた。やはり目だ目。

そんなこんなで心が閉じたり開いたりを繰り返す本でした。

装丁(佐々木暁さん作)もシンプルでかっこいい。

ちなみにこの本は大きな書店やアマゾンじゃないと買えませんよ。

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