2009年9月12日土曜日

読書感想文

 昨日は飲んで、今日は特に何もしない土曜。雨だしね。

 家で、小説を読みまくり、自分のことや他人のことを考えた。西加奈子「あおい」も長嶋有「泣かない女はいない」もそうさせるに十分な立派な芸術だった。「あおい」の中の短編では「サムのこと」では「キム」という在日朝鮮人(つまり朝鮮国籍の人)が出てきて、脇役としていきいきとその生が描写されていた。おお、すげーと思った。舞台は桃谷。表題作「あおい」は理解はできないが、その切実さだけは受け取った。この作者は容赦ないけど下品じゃない。そこが一番素敵なとこだと思う。
 
 長嶋有の成長の描かなさったらなく、人物の成長を小説のゴールに(徹底的に)設定していない。久々のその徹底に強い意志を感じた。ああー忘れてたーと思う感覚だった。ここ3年くらい。徹底して描かないところにこの作者が小説を書かせるエンジンがあると思う。小説的技巧も全部そこがもとになってる気がするな。
 あとこの人の小説はとにかく人が別れる。結びつくまでを描くんじゃなくて別れるまで、もしくは別れてる間、もしくは別れに巻き込まれる人を描く。結びつくと同じくらい別れるが本当はあるのだから、別れる物語がもっとあってもいいと思う。あるのか知らないだけで。

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