2010年6月24日木曜日

父による「不思議なような、別にそうでもないような」話

父の話。ちょっと長いけど。

親父は警備員なのです。

 実家に帰るといろんなことを話してくれるんやけど、その中の「不思議なような、別にそうでもないような」な話。
 雨の日、いつものように警備していると、親父の目の前にハイヤーがとまり、そこから重役が出てきた、そして傘をさして、重役を濡れないようにしている運転手。親父もその重役も運転手もだいたい同じくらいの年齢だったそうです。その光景をみて親父は、「同じくらいの年齢でも傘をさす人、さされる人、いろんな立場がいるもんだ」という感慨にふけったそうです。

 仕事帰り。無料の駐輪所に自転車をとめていた親父は、自転車を出そうとしていたんですね。ところが、その日の駐輪場は混んでいて、自転車をだすのが一苦労だったそうです。で、丁度屋根もないところに自転車をとめていたみたいで、雨は降っているけど、自転車をそこから出すことが先決だってことで、傘を閉じて、自転車をだそうとしていたそうです。それでとりかかろうとしたら、ふと雨が体にかかっていないことに気づきました。不思議に思い、顔をあげると、なんと女の子が傘をさしてくれていたそうです。親父は、「ああそうか、この娘は隣の自転車なんだな、待っている間、傘をさしてくれるなんていい娘だな。早く自転車を出そう」と思ったそうです。
 で、「ありがとう。君はどこに自転車とめているの」と聞いたそうです。そうすると、「いえ、私は自転車はどこにもとめてないです」と言われたそうです。

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 親父はいろいろ考えたそうです。いくら親切な娘といえど、おかしくないか、見ず知らずの人間に労を惜しんで傘をさしだすなんて。変な商売の人ではないか。でもどれも違うような気がするそうです。それで自転車を取り出した親父は、「ありがとう」と礼をいってそそくさと帰ってきたらしいです。親父が立ち去るまでの間、その子は見送ってくれたとのこと。幽霊の類いでも絶対ないそうです。
 傘にまつわる2つの出来事を同日に体験した親父はとても不思議がっていました。こんなんあるか?としつこく言ってきました。妹も母も同じ話をされていました。2つの出来事がリンクしていることが特に不思議だったそうです。これがフィクションならその娘は運転手の娘(もしくは重役の娘)ですよね。現実はなんなんやろ。親父はモテキなんですかね。それとももう少ししたらその子に壷とか買わされるんでしょうか。圧倒的後者ですね。徳日家は貧乏になりますが、親父の選択ならそれもまたよしです。

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