2010年2月13日土曜日

そして僕は日本で生まれ育った〜在日コリアン・家族の100年〜

 お世話になっているフリージャーナリスト団体アジアプレスから、ある縁でアジアプレス制作のドキュメンタリーDVDを送っていただきました。坂本さん、玉本さんありがとうございます。

早速一つ見る。感想。

そして僕は日本で生まれ育った〜在日コリアン・家族の100年〜(2006 NHK/アジアプレス制作)
 
 別にお知り合いの方の制作だから贔屓して見るつもりはないけど、この作品はおもしろい。在日の100年史が網羅できるだけでなく、主人公の在日韓国人のTVディレクターのキャラクターが非常に際立っていて、TVドキュメンタリーとして非常に優れていると感じました。正確にいうと尻上がりにおもしろくなってきました。
 
 内容です。

 主人公が在日のアイデンティティーを探しに、故郷に行ったり、日本社会で生きている様々な在日の人に会いに行ったりして行く中で、日本と朝鮮の歴史的な事実も盛り込んで行く(この歴史的な事実では、在日韓国人の僕も知らないことばっかりで勉強になった)で一番面白かったのが、この主人公。とにかく自分が在日韓国人ていうことにアイデンティティーがあるんですね。出会った在日にもとりあえずこの質問をする。

「あなたにとって在日とはなんですか?」

主人公の家族も、なんで主人公がそこまで在日韓国人にこだわるのかがよくわからない。主人公自身もよくわからない(なのでこの作品を通じて探す)

 僕は正直、その質問は映像従事者としてあまりにも短絡すぎやろ、と思いました。どう落としどころを用意するんだろうと。そしたら最後に主人公はこう言います。

「在日とは僕自身やから、こだわるしかない」と結論のようなもんを言います。

 それを聞いて、極端に言いますが、いやいやいやいやいやいや、そんなんもう、俺は犬やから犬にこだわる。俺は西表大山猫やから西表大山猫にこだわる、俺はナメック星人やからナメック星人にこだわるというてるようなもんやん。でも犬が犬であるということにこだわりますか?犬は犬であるがゆえに、犬であるということにはこだわらんでしょ。なぜなら犬やから。たしかに主人公が在日にこだわる(こだわらせてしまう)個人の背景や社会的な歴史を散々説明する。でも映像の結論として在日が在日であるという理由で、在日としてのアイデンティティーにこだわるなんて答えは駄目でしょ。このように思いました。

 でもそれを聞いた、主人公の高校生の娘が言います。

「まぁこだわる人はこだわればいいし、こだわらん人はこだわらんでいいんじゃない」お父さんは娘もなかなか言いよんな的表情。そうだ娘、もっと言え、と僕は思いました。

 そして最後の最後に家族を写している撮影クルーが見えるところまでカメラはひきます。ナレーションで「主人公はこのような答えをだした」じゃあ「(その主人公を写している)我々日本人は?」と問いかけてこの作品は終わります。つまり被写体となっている在日、写している我々の関係性を提示して終わる。最後にそう来るか!なるほど伏線効いてる!と思いました。あとちすんさんという在日3世の女優がかわいかった。舞台や映画に活躍中だとか。
 そうだ、作品の中で、この人と父親が結婚について議論する場面があるんやけど、前述の日記に近い議論をしていてどこの親も本当に似ているなーとも思いました。

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